男「俺が客側にいる……!? なんで……なんで入れ替わってんだ!?」
男「!」ハッ
男「お、お前は……!」
友人「久々にお前に会えたと思ったら……どうなってんだこれ?」
男「友人!?」
友人「なんで商品買った俺がレジにいるんだ? 説明してくれないか?」
男(説明するのもルールだっていってたよな……)
男「実は……」
友人「そういうことか……」
男「ああ、つまりお前は誰かを惚れさせない限り、出られ――」
男(ってちょっと待てよ?)
男(なんで俺は出れたんだ? もしかして、もしかして……)
男「お前、ずっと俺に惚れてたのか!?」
友人「……ああ」
友人「俺はお前が好きだった」
友人「女店員の件も、嫉妬で“たまたまだよ”って言い続けてたんだ」
男「!」
男「バ、バカ! そういう想いを伝える行為は禁止だっていったばかり――」
友人「一生ここを出られなくなるんだろ? いいんだ」
友人「俺の想いを知っちまったら、お前はもう俺のことが気持ち悪くなるだろうし……」
友人「俺はもうずっとここで暮らすよ」
友人「お前は俺のことなんか忘れて、新しい人生を歩んでくれ。元気でな」
男「……」
男「このガムを買うよ」
友人「? ……ありがとうございます」
ギュゥゥゥゥン
男「……やはりな」
友人「な!? なんでお前までレジ側に!?」
男「レジにいられるのは一人だけ、なんてルールはなかったからな」
男「つまり、俺もお前に100%惚れちまったってことだよ」
友人「……!」