時間より5分遅刻して、のび太は生協で二人と合流した。
しずかはドリア、出木杉はスパゲッティを食べている。
のび太は豚骨ラーメンの器をテーブルにおいて、腰掛けた。
しずか「のび太さん、またラーメン?」
のび太「ん? うん。昨日は醤油だったから今日は豚骨」
出木杉「不健康だなぁ」
しばらく取り留めのないことを話しながら食事を楽しむ。
全員が食べ終わったのを見計らって、出木杉が本題に入った。
出木杉「昨日コピーロボットが出たのはスネ夫くん家と、駅の駐輪場付近だよね。で、実は
安孫子大学の都市環境工学科があの辺に実験用の電磁波の測定装置を設置していた
んで、ちょっとそのデータを見せてもらったんだ」
そう言うと、出木杉は鞄の中からA4の用紙を何枚か取り出した。
出木杉「これが、コピーロボットが出た時間帯の両地域の測定データなんだけど、コピーロ
ボットが出た時間にどちらの装置も微弱なマイクロ波を測定している。もっと厳密
に言えば極超短波帯なんだけど……つまり準マイクロ波だ。おまけにこの周波数は
現代では観測例がない」
のび太「つまり、コピーロボットがその発信元だと?」
出木杉「可能性は高い。同じものが観測されたらすぐに観測地域を連絡してもらえるよう安
孫子大には頼んであるから、うまくすればコピーロボットの位置を把握できるかも
しれない」
のび太「すごいな」
出木杉「驚くのはまだ早いよ。これは、黒服の男たちが剛田くんの家でどこでもドアを使っ
た時間帯の測定データ。剛田くんの家からはだいぶ離れた場所に設置されていたに
も関わらず、強い電磁波を測定している。どこでもドアの影響だろうね。その
直後、東久留米市の一部地域で多大な電波障害が発生している。おそらく、その近
辺がどこでもドアの出口になったんだと思う」
しずか「じゃあ、武さんたちを襲った人たちは東久留米にいるの?」
出木杉「だろうね。どこでもいいなら隣の市なんて中途半端な場所には逃げないと思う。た
ぶん奴らの拠点がそこにある」
のび太「時空を曲げるどこでもドアだからね……強い影響が観測されてもおかしくない」
出木杉「これである程度向こうの動きが把握できる」
*このSSはのび太たちの居住区を田無市(現・西東京市)とした設定ですm(_ _)m
のび太「実は僕もちょっと対策を考えてきたんだ」
のび太は紙袋から無骨な機械をいくつか取り出す。
のび太「まずは、受信機。特定の周波数を感知できるんだ。急いで作ったから精度はあま
り良くないけど、相手がコピーロボットかどうかはくらいは確かめられる」
出木杉「やっぱりのび太くんも電磁波の可能性は気づいてたか」
のび太「いや、出木杉くんほど正確には掴んでなかったよ。それと、こっちはスタンガン。
研究室にあったコンデンサを改造して作ったんだ。これも急ごしらえだから使い捨
てだけど、かなりの威力があるよ。コピーロボットに効くかどうかはわからないけ
ど、ロボットである以上は強い電流には弱いと思う」
出木杉「なるほど……鼻のボタンを押すよりはやりやすそうだ」
のび太「それと、ちょっと面白い機能もついててね……」
そう言ってのび太はニヤリと笑った。