【※感動注意※】のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」

それから数分間のことをのび太はよく覚えていない。

みんなから聞くと

「子供のように泣きじゃくっていた」「『ドラえもん、ドラえもん』と何度も何度も叫んでいた」

とのことだ。

どうしてもたどり着けなかった、ネコ型ロボット。

研究しても研究しても作ることの出来なかった無二の友達。

 

それが――ドラえもんが帰ってきたのだ。

ドラえもん「やっぱりのび太くんは駄目なままだね。君が心配でタイム・パトロールの人に
頼んで連れてきてもらったんだ」

のび太「そんなこと……ないよ。僕だってやるときはやるんだ」

出木杉「そうだよ。ドラえもん……僕らはのび太くんにたくさん助けられた。のび太くんは
すごいよ」

ドラえもん「それでも、まだまだ駄目だよ」

ドラえもんはクスクスと笑う。

そして、小声でのび太に言った。

ドラえもん「のび太くん、まだしずかちゃんに”好き”って言ってないでしょ?」

のび太「うん……」

ドラえもん「だめだなぁ。君がしずかちゃんと結婚しないと、僕は作られないんだよ?」

 

ただいま

のび太「え……? それってどういうこと?」

ドラえもん「君には言ってなかったけどね……僕らネコ型ロボットがどうしてこういうデザ
インになったかわかるかい?」

のび太は首を横に振る。考えたこともなかった。

ドラえもん「今からそれを教えてあげるよ……」

そう言って、ドラえもんは話し始めた。

 

2049年、ある日本人が人工知能を有するロボットの発明でノーベル賞を受賞することになる。

大きな技術革新に繋がったそのロボットのデザイン。その偉業に敬意を払って、

そのロボットのデザインが2112年に開発されたネコ型ロボットに採用された――

 

のび太「その日本人が、僕? でも僕は事業に失敗してセワシの代まで借金を残すんじゃ……」

ドラえもん「そうだよ。もちろんノーベル賞をとるのは君じゃない……出木杉くんさ」

 

のび太「出木杉くんが?」

ドラえもん「そう。君としずかちゃんが結婚した翌年、出木杉くんに誘われて君たちは再び
共同研究を始める。研究のために君は多額の借金をするんだけど、完成間近に
ついに資金が底を付いて、開発から手を引くんだ。でも出木杉くんはその後も
研究を続け、君が手を引いた2年後、画期的なAI搭載コミュニケーションロボ
ット『DORA-121』が完成。ノーベル賞を受賞するのさ。その『DORA-121』は君
たちが作ってるこのDR-1のデザインをそのまま使ってる……もう、あとはわか
るよね?」

のび太「あのロボットが……。でも、僕としずかちゃんが結婚しないとドラえもんが出来な
いってのは?」

ドラえもん「もし出木杉くんとしずかちゃんが結婚したら、君は出木杉くんと共同研究が出
来るかい? 出木杉くんと顔を合わせたくなくて、断るんじゃない?」

のび太「……そんな気がする」

ドラえもん「そこへいくと出木杉くんは人間が出来てるから、君としずかちゃんが結婚して
も嫉妬せずにのび太くんを研究に誘ってくれるってわけ。出木杉くん一人じゃ
ノーベル賞まではいけないからね」

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