会場
継母「さあ、シンデレラ。こちらですよ」
シンデレラ「ひぇぇ……!!」
長女「なに? その泣き声? 抱きしめて欲しいって合図?」
シンデレラ「わ、わわ、私より綺麗な人が……たくさん……!!!」
次女「当然よ。王子様に近づけるチャンスなのですから、色んなところから人が集まるわ」
シンデレラ「うぅ……」
三女「あら、王子様も踊っているみたいですわね」
長女「当然ながら皆は王子のほうばかりを見ている。でも、今から颯爽とと天使がこの会場に舞い降りる」
長女「すると、王子様も嫉妬するほどの衆目をシンデレラが集めてしまう」
三女「まぁ、当然ですわね」
シンデレラ「や、やっぱり……こんなところで躍るなんて……私には無理です……」
長女「何を今更、ここまで来て我侭は許さないですわよ!!」
次女「そうよ、シンデレラ。私たちは貴方をここで躍らせるために連れて来たんだから」
シンデレラ「でも……みなさん、わたしよりも綺麗で……踊りもうまくて……ドレスも豪華で……」
継母「んまぁ!!! 腰が引けてるわね!!! これはまた可愛いわ!!! いい加減におし!!! 貴方のそれは天井知らずなの!?」
シンデレラ「すいません!! あの……帰りませんか……?」ウルウル
三女「シンデレラ? 姉に意見とはいい度胸ね。涙目で訴えられると、首を縦に振らずにいられないじゃないの」
シンデレラ「だって……だって……」
次女「お姉様、どうしますか?」
長女「シンデレラ? 姉の言うことが聞けないの?」
シンデレラ「……お姉様たちは……私を……玩具にしているだけではないのですか……?」
長女「……!」
次女「お姉様、もしやあの日の夜のことがバレて……」
長女「そんなはずは……」
シンデレラ「わ、私だって……お姉様たちみたいな……性格だったらって……思います……」
継母「シンデレラ……」
シンデレラ「誰にでも明るく接することができるお姉様とは……違うんです……だって……私は……」
シンデレラ「本当の姉妹じゃ……ありませんから……」
長女「シンデレラ……あなた……」
シンデレラ「私はこんな性格ですから、お姉様たちにきっと嫌な思いをさせるだけだって……」
シンデレラ「だから、私は雑用をこなすことで、家に置いてもらうことしかできませんっ」
シンデレラ「それ以外のことなんて……無理なんです……。こんな煌びやかで眩しい場所は……似合わないです……」
シンデレラ「だから……!!」
長女「なるほど。つまり、この三ヶ月間、私たちが貴方に強いてきたことは迷惑だった、というわけね?」
シンデレラ「そ、れは……」
次女「そ、そうですの?」オロオロ
三女「ゴメンヨッ、シンデレラッ。キヲワルクシナイデクレッテ」
シンデレラ「……」
継母「シンデレラ?」
シンデレラ「お母様……?」
継母「辛かったの?」
シンデレラ「私は……お母様やお姉様が傍にいてくれたら……それだけで……」
長女「そんなこと言われても私は別にうれしく――!!!」
シンデレラ「うぅ……ぐすっ……」ウルウル
長女「もう!! どうして嫌ならいやって言いませんの!?」
シンデレラ「だって、私お姉様に嫌われたくなくて……!!」
長女「嫌いになるわけないザマスわ!!」ギュッ
シンデレラ「お姉様……」
次女「やっと本音をいってくれましたわね。半年前からずっと待っていましたわ」
シンデレラ「え……?」
三女「この舞踏会に誘ったのも、実は言うと貴方の気持ちが聞きたかったからなの」
シンデレラ「どういうことですか?」
継母「たった半年。されどシンデレラの性格はよく理解しているつもりですわ」
長女「きっとこういうことは嫌がる。本当に追い詰められたら、貴方だって本音を言うしかないでしょう?」
シンデレラ「でも、あの……それでもし私がお姉様たちを心から嫌いになってしまったら……?」
長女「毎晩枕とシーツを濡らすだけですわ」
次女「私はひたすら謝り倒しますわ」
三女「セリーヌをあげていました」
シンデレラ「お、お姉様……」