ある日胃腸炎で寝込んだ俺の家に彼女が来る事になった
嫌な予感はしていたが全く予感は的中した
皿は割る、洗剤はこぼす、まだ乾いてない洗濯物をベッドに放り込む、お粥は煮えすぎて不味い
極めつけは、俺が大事にしていたエンタープライズ(戦艦)のプラモをぶっ壊したことだ
棚を掃除しようとして落っことしてしまったらしい
俺は完全にキレた
「もう、何やってんだよ!!帰れ!」と彼女に怒鳴り散らした
彼女は泣きながら「ごめんね」とつぶやいて玄関に消えていった
それから一週間後、彼女は交通事故に遭った
連絡を受けて病室に入ると、医者が「ご家族の方ですか?」と言ってきた
俺は首を横に振った
「お友達?良かった、家族の方と連絡が取れなくて困ってたんです」
そう言って医者は彼女の酸素マスクを取って一言残して部屋を出て行った
「手を尽くしましたが今夜が最後です」
どれだけ時間が経っただろうか、深夜になり彼女が目を覚ました
腫れ上がった目から涙がこぼれて俺に言った
「ゆう君(←俺)・・・」
彼女は俺の手を握った
もう、握るというほどの力も無かったが
「・・ゆう君のこと考えてたら・・・私、信号見てなくて・・・」
彼女の息が荒くなった
「・・・・ゆう君の家、また行っていい?仲直り・・」
「いつでも来いよ・・元気になったら」
彼女はニコっと笑った
「・・・ゆう君・・」
「料理も掃除も教えてやる。でもその前に怪我治せ・・・おい!」
彼女は目を覚ますことはなかった
その後のことは良く覚えていない
医者と看護士が慌しく入ってきて死亡判断?のような事をやっているのを眺めていた