【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「……まあ、身を隠すだけならいいけど。それに、いくら九州のじいちゃんでも、さすがにここにいるなんて……」

プルルル…

突然、家の電話が鳴り始める。

「……まさか……」

「……ひょっとして……」

「……う、ウソでしょ……」

オラたち三人に、緊張が走る。
ひまわりとむさえさんにアイコンタクトをした後、オラが電話に出た。

「……も、もしもし……」

「――ああ、しんのすけか。九州のじいちゃんたい」

「―――ッ!」

「むさえに伝えてくれんね。――いい加減、諦めて九州に戻れとな。頼んだばい」

そして、電話は切れた。

呆然とするオラに、ドアの陰に隠れたむさえさんがおそるおそる顔を覗かせた。
どうだった?――そう言わんばかりの顔をして、オラに注目する。

オラは静かに、親指を立て、アウトのジェスチャーを取る。
それを見たむさえさんは、一人、ムンクの叫びのような顔をするのだった。

「と、父さんにバレてたとは……」

むさえさんは、居間の中央で項垂れる。

「……まあ、親子ってことじゃないの?」

「さすが九州のじいちゃんね。むさえおばさんの行動パターンを読んでる……」

ひまわりは腕を組みながら、感慨深そうに呟く。

「――こうしちゃいられない!」

むさえさんは、さっさと荷物をまとめて玄関に駆け出した。

「え?もう帰るの?」

「まあね!父さんに居場所がバレてるなら、長居は無用!」

むさえさんは急いで靴紐を結ぶ。と、その時――

「――あ、そうだった。はい、しんのすけ」

むさえさんは、オラに封筒を手渡してきた。

「これ……」

「少ないけど、なんか美味しいのでも食べなよ」

むさえさんが渡してきた封筒には、けっこうな額のお金が入っていた。

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