「……しんのすけ、黙っていたのは悪かったと思う。いつか言おうと思っていたんだ」
「……」
「でも僕は、真剣なんだ!真剣に、ひまちゃんを幸せにしたいんだ!だから――」
「――だから……なんなのさ……!」
「――!」
思わずオラは、風間くんに詰め寄る。そして気が付けば、彼の胸ぐらを掴んでいた。
「……オラが言いたいのは、そんなことじゃない!」
「――ッ!」
「どうしてひまわりを、一人で帰らせたんだよ!どうして、最後まで見送らなかったんだよ!
その帰りに――アンタと会った帰りに、ひまわりは事故に遭ったんだぞ!?
アンタが一緒なら、違ってたかもしれない!
――一生重荷を、背負うこともなかったかもしれないだぞ!?」
「……しんのすけ……」
……分かってる。
彼に、非はない。こんなのは、ただの八つ当たりだ。
それでもオラは、オラの心は、行き場のない怒りを、彼にぶつけるしかなかった。
そうしないと、頭がどうかなりそうだった。
「……ごめん、しんのすけ……」
風間くんは、静かにそう呟いた。
そしてオラは、投げ捨てるように彼の体を解放する。
風間くんは、力なく硬いアスファルトに座り込んでいた。
「……しんのすけ……」
「――止めてくれよ!」
「……!」
「……今は、何も聞きたくない……!」
そう言い捨てたオラは、そのまま公園を立ち去る。
振り返ることなく、風間くんを振り払うように……