仕方なくまさおくんの分まで清算したオラは、家に帰っていた。
まあ、後日請求すればいいだろう。
それはそうと、まさおくんはすっかりねねちゃんにゾッコンのようだ。
もしかしたら、ねねちゃんを彼に奪われようとしたことで、自分の中の気持ちにはっきりと気付いたのかもしれない。
失われかけた寸前、もしくは失われた後に、初めてその大切さを知る……人生においては、往々にしてあり得ることだろう。
それにしても、もし仮にライバル(?)だとするなら、まさおくんには悪いが、かなり分が悪い気がする。
何せ、相手は超絶イケメンだし。
(………居酒屋、予約しておくかな……)
オラは頭の中で、まさおくんを元気づける会の計画を立て始めていた。
――と、その時。
ドン
曲がり角を曲がったところで、オラは人とぶつかった。
「うわっと……す、すみません。考え事をしていたもので……」
「い、いえ、こちらこそすみません……ん?」
「……ん?」
オラは、その人物を見て驚いた。
そこにいたのは、例のイケメンだった。
しかしながら、向こうも向こうでオラを凝視していた。
何度見てもイケメンだなぁなんて思いながら、とりあえず聞いてみた。
「ええと……何か……?」
するとイケメンは、意外なことを口にした。
「……あの……失礼ですが、もしかして、野原しんのすけさんですか?」
「……へ?」