しんのすけさん!いったいどこへ……!!」
「………」
オラはただ、その場所を目指す。
そこはさっき見かけた場所。少しだけ高い岩場。
オラは彼女の手を掴み、岩場を駆けあがる。
「し、しんのすけさん……そっちは、海ですよ?」
「大丈夫。オラも一緒だから」
「で、ですけど……」
そして岩場の頂上に辿り着いたオラは、下を見る。
下は透き通るような海だった。他に岩はなさそうだ。
これなら……
「……しんのすけさん?」
不安そうにオラの顔を窺うあいちゃん。オラは、彼女に微笑みを向けた。
「……飛ぼうか、あいちゃん」
「……え?―――きゃっ!」
オラは彼女の手を引っ張り、海に飛び込んだ。
海面に落ちるなり、辺りには水しぶきが舞う。
塩水が口に広がる。目が少し痛い。
そしてオラとあいちゃんは、海水でずぶ濡れになった。