【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「――さて……しんちゃん、出発しようか……」

「……」

オラは、黙って車のエンジンをかけ、発車した。
後部座席には、包丁を持った四郎さん。そしてその隣には……

「……お、お兄ちゃん……」

ひまわりは、顔を真っ青にして震えていた。
そんなひまわりの顔を見ていないのか、四郎さんは、生気のない顔のまま前を見ていた。

……あの後、オラたちの元へひまわりが来た。
そして彼女は車椅子を降ろされ、人質となった。
歩けない彼女がいる状況に、下手に動くわけにはいかなかった。
オラは四郎さんの指示に従い、どこへ向かうのか分からないまま、車を走らせていた。

「……四郎さん。とにかく、一度落ち着いて……」

「――いいからッ!!……今は、黙って運転しててよ。しんちゃん……」

「……分かりました」

今は、刺激しない方が良さそうだ。
オラはそれ以上のことは言わず、ただ車を走らせる。

……それにしても、四郎さんは、いったいどうしてこんなことを……

最後に会ったのは、オラが小学校に入校したくらいだろうか……
あれから、四郎さんに、何があったのだろう……

様々な疑問が浮かぶ。当然、答えなど分からない。

今はただ、ひまわりの身の安全のために、車を運転するしかなかった。

四郎さんの指示のもと、辿り着いたのは山間にある廃屋だった。
今日は雲が出ているのか、星の灯りはほとんどない。辺りは漆黒の闇に閉ざされ、木々がどれ程あるのかも分からない。今ある光は、四郎さんが持ってきた懐中電灯だけであった。
薄気味悪さもあったが、それ以上にこれからのことが怖かった。

オラとひまわりは、そこにある柱に縛り付けられていた。

「……本当にごめんね、しんちゃん、ひまわりちゃん……」

「……謝るくらいなら、解放してください。そして、一緒に自首しましょう。こんなことをしても、いずれ必ず捕まりますよ」

「……うん、そうかもね……。でも、僕はもう人を刺したんだ。……もう、引き返せないよ……」

「……四郎さん……。ならせめて、ひまわりだけは解放してください」

「お、お兄ちゃん!?」

「ひまわりは見ての通り、歩くことが出来ません。このまま一緒に行動しては、必ず足手まといになりますよ」

「………」

……自分で言った言葉に、胸が痛んだ。

――“歩けないひまわりは、足手まとい”――

本当は、口が裂けてもそんなことは言いたくなかった。
そんなこと思っていない。だけど、彼女が解放されるなら、その可能性に賭けてみた。

……だが四郎さんは、頷くことはなかった。

「……キミ達は、大切な人質だからね。悪いけど、解放はしないよ……」

(……くそ……ダメか……)

とにかく、四郎さんの狙いが分からない。
それを探るべく、オラは再び話しかけた。

「……どうしてオラ達を?」

すると四郎さんは、失笑するかのように、短く笑う。

「……そんなもの、決まってるじゃないか。
――金だよ……」

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