【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「……え?お、お兄ちゃん……?」

「聞こえなかったのか?――この家を、出るんだ」

「……!」

ひまわりは顔を青くし、激しく動揺しているようだった。
それも当たり前だろう。
ひまわりとはケンカをすることはあっても、ここまでの言葉を口にしたことはない。
にも関わらず、ケンカらしいケンカもしていない今、唐突にそう言われて混乱しているのだろう。
なぜ、オラがそんなことを言ったのか分からない。
なぜ、そう言われたのか分からない。
なぜ、なぜ、なぜ、なぜ……きっと彼女の頭のなかは、そればかりが漂っているだろう。

気が付けば、彼女は涙を流していた。

「……ひまわり……今日、風間くんと会ったよ」

「……!」

「プロポーズ、断ったそうじゃないか……なぜだ?」

「……だ、だって……それは……」

「風間くんが、嫌になったのか?」

「そ、そんなんじゃないよ!……そんなんじゃ、ないけど……」

(……即答、か……)

これで、確信した。
それと同時に、言い知れぬ怒りのような思いが沸々と生まれていた。

「……悪いな。全部教えてもらったよ。風間くん、なかなか言わなかったけどな。
――ひまわり、オラを気遣って断ったんだろ?」

「――ッ!そ、それは……」

「――ふざけんなよッ!!!」

「――ッ!」

ひまわりは、体を震わせた。

「それでオラを気遣ったつもりか!?オラのためになると思ったのか!?
――オラを理由に使っただけじゃないか!!」

「ち、違う!」

ひまわりは、慌てて声を出す。

「――だって!私が風間くんと一緒に行ったら、お兄ちゃんが一人になるじゃない!
いつも私の横にいてくれて、励ましてくれていたお兄ちゃんがだよ!?
――そんなの……出来るわけないじゃない!」

「それがどうしたんだよ!勝手に同情してんじゃねえよ!!」

「同情なんかじゃない!たった一人の家族だよ!?
お父さんとお母さんが死んだときも!私が歩けなくなった時も!そして今も!
なんでお兄ちゃんばっかり、全部背負うの!?なんでお兄ちゃんだけが、我慢するの!?
――お兄ちゃんばっかり辛い思いをして……そんなの、絶対嫌ッッ!!」

「……」

「……」

……沈黙が、流れる。
外からの雨の音は、止むことはない。
ザーザー……ザーザー……涙を流すように、降り続いていた。

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