彼女は移動と、たくさん話したのと、歩いたのと、太陽の下に長くいたせいか、ちょっと疲れてて。
電車に乗り換えてからは、熟睡。初めて見る寝顔。やたら安楽そうで、嬉しかった。
夏休み前の実習終えると、暫く休み。貴重なバイトの時間。
ずっと使って貰ってた、建材屋さんでのバイト。リフト乗ったり、トラックの助手席乗ったり。
馬力があるからと、荷下ろし要員として結構待遇が良くて。居心地も良くて。
時間あれば八時半入り五時半上がり。働いてる実感があったし、昼弁当が出るのも、嬉しかった。
大量の運搬終わってやれやれって感じで事務所帰ってきた時、事務長さんがメモくれて。
「電話。女の子。」え、って感じで受け取って。何か嫌な予感がして。電話借りてかけてみて。
電話番号は総合病院の内科病棟で。彼女とお婆さんの名前言ったら、彼女呼びだして貰って。
「どしたの?」「おばーちゃん、入院しちゃいました。」微妙に声、違って。
朝からフラフラするって言ってたから病院行くの進めたら、そのまま入院になってしまったと。
とりあえず顔出す。それだけ言って受話器置いて。早上がりさせて貰って、病院行った。
繋ぎの作業着腰に巻いて安全靴って姿のままで病室行ったら、点滴吊ってるお婆さんがいて。
お婆さんのベッド脇に座ってた彼女が、殆ど走って。目線真下、ってくらいまで来て。
「ご、ごめんなさい。」「いいよ。」「脱水症状…。」「うん、聞いた。」「仕事…。」「いいから。」
動揺激しかったのか、僅かに声上擦ってて。俺までそうなっちゃ駄目だと、落ち着こうとして。