二人が会うのは、お母さんの納骨以来。二人が話したのは、軽い挨拶程度だった。
後は俺の体調の事とか入院費用の事とか、保険の請求があるから領収書取っておけとか、
無理はするなとか、就職活動どうだとか、無難な事で。電話で済むだろ、って感じの内容で。
それよりも話してる間、彼女がずっと正座で姿勢良すぎて。不自然すぎて。おかしくて。
お婆さんに挨拶する、って言って親父が部屋出てから、「何で正座?」って聞いたら、
「あは。ちゃんとしないといけないかなって。」意識しすぎだと思ったけど、とりあえず撫でた。
お婆さんと親父と、どんな話してるのかとやっぱり気になったけど、夜になって電話があって。
彼女の事を「明るい顔になってたなぁ。」親父も言ってて。お婆さんに感謝されたと言って。
「よくやったよ、お前。」何したつもりもないけど、何か役に立ってるんなら、嬉しくて。
親父は彼女と俺の事については、何も言わなかったけど、最後に一言。これはちょっと重く、
「いいお兄ちゃんでいろよ。な。」後で含まれる意味を深読みして、悩んだ。
退院して一週間後、病院で採血して、結果良好で完全回復。思った事は、やっと肉が喰える。
検査結果見て貰って、顔全部で笑う彼女に「牛丼喰っていい?」聞いて、許して貰って。
脂気無い生活からいきなりで、胃も小さくなってて、食べあぐんで。並盛り少し残した。