牛丼が初めてだった彼女、重そうに丼持って「おいしい。」言いながら頑張って全部食べて。
彼女より喰えない自分に驚いて。ショック受けて。でもそのくらいしないと治せなかったのかなと、
退院してからの一週間、看病と言うか監視をしてくれた事を改めて彼女に感謝して。
「埋め合わせするから。」そんな意味の事を言ったら「いっぱいお世話になってますから。」
だからお礼言う必要もないしお返しとかいらない。その一点張りで。何もさせてくれなかった。
あの入院以来、家族ぐるみと言うか、俺と彼女とお婆さんだけの付き合いでは無くなった。
特におかんと彼女の連絡は、頻繁になって。二人が電話で長く話してると、何か妬けた。
社会復帰して、徐々に体も慣らして。体重は一ヶ月くらいで元に戻って完全復活。
卒論仕上げて出席も単位も足りてたから講義とかにも行かずに就職活動に集中。
どこで就職するかというのが問題になって。親父とおかんにも一応相談はした。
「まさか帰ってくるつもりじゃないよな。」その言葉で予定通りアパート近辺に絞って探し始めて。
今思えば物凄く楽観的で。何とかなるだろうとたかをくくって淡々とやってた感じで。
それでもそこそこ体格のある男と言うのは介護の現場では重宝がられるからか、
履歴書と健康診断書提出してそれで落ちるなんて事はなかったし、面接の感触も良かった。