俺の部屋から市営までは、国道沿い歩いてほぼ真っ直ぐで徒歩二十分。軽い散歩程度の距離。
学校の近所で。近隣に住んでた友達とか講師とかと出くわしたりする事もあって。
逃げる訳にもいかないし腹決めて紹介して。俺が口に出して「カノジョ。」って言うと、
照れなのか顔赤くして、はにかんで。俺の後ろ隠れて。背中くっついて。それがかわいくて。
ほぼ全員に後から学校とかで「かわいかったー。けど何歳?」って事を聞かれて。
ちっちゃくて肉の薄い彼女は実年齢より下しか見えなくて。一番気になる部分だったみたいで。
中二で十四歳と言うと、ギリギリセーフと言う判定をされる事が多くて。
ロリコンとか変態とか、きっつい言葉も覚悟してたけど、結構反応柔らかくて、意外だった。
…でもこの頃、彼女と歩いてて、初めて職務質問をされた。夜十時くらいだったと思う。
若いお巡りさんに呼び止められて。彼女の年齢とか俺の立場とか聞かれて。素直に答えて。
彼女を家に送ってる所だと言うのは信じて貰えて。もう少し早く返すようにと言われて。
お巡りさんの口調が丁寧で、印象が悪くなかったから腹が立ったりはしなかった。
けどその話を友達にしたら「犯罪の臭い、したんじゃない?」そんな事言われて。結構へこんだ。
専門学校二年目の俺には夏休みなんて物は無くて、実習と補講。休みはバイト。その繰り返し。
実習にも慣れて、とにかく事故だけ無いように終われればと緊張感は保っていたつもりだった。
けど実習終えて打ち上げやって、家帰って寝て早朝に変な腹痛起こして。救急車自分で呼んで。
何か普通じゃないと思ってたら急性膵炎で。即入院と絶飲食を言い渡されて。呆気にとられた。