非常に面倒な事になったと思いながら、買い物済ませて帰って。彼女とお婆さんと鍋やって。
暑いくらいに体の温まる鴨、彼女もお婆さんも驚いたみたいで、喜んでくれて。嬉しくて。
残った汁保存する為にさましてたら、パーカー着た彼女が横に来て、足入れて座って。
何か妙に近くて。彼女の髪の匂いで鼻くすぐられるのを、その時初めて意識したと思う。
「あのー。今日会った人って。」「学校の友達。」「ただの友達?」「ただの友達。」
「じゃ、詳しい事ってなんですか?」「俺との関係みたいな事じゃないの。」
「あ。私ですか?」「説明、しにくいな。」「ですよね。」「何て言っとこう。」
「あは。カノジョじゃダメですか?」視線向けると、ほてった顔して笑う彼女がいて。
「で、いいの?」冷静装って聞いたら「え、いいんですか?」って、ちょっと驚いてて。
「いいよ。」「お、お願いします。」そんな事になってしまって。かなり、うろたえた。
彼女はかなり昂揚した感じで。それ抑えたつもりか、囁くような声で、妙な事言いだして。
「あ、えっ、でも、カノジョっぽい事とか、ゼンゼンわかんないんですけど、いいですか?」
「カノジョっぽい事って?」意味合いが微妙そうで聞いたら、かぁっと耳まで真っ赤になって。
ぺしぺし肩叩かれて。フードかぶって。膝抱いた腕におでこくっつけてその顔隠して。
「おばーちゃんにはナイショですよ。」「内緒なんだ。」「絶っ…対ですよ。」「うん。」
時々顔あげて「赤いですか?」って聞いて。なかなか冷めなくて。ちょっと帰りが遅くなった。
次の日登校してみたらクラスの三割くらいが尋問態勢だった。普通にカノジョだと答えた。
「えー、潔すぎてつまんない。」「否定しねぇといじれねぇじゃん。」勝手な連中だと思った。
『カノジョ』と言う事になったとは言え、俺と彼女に急な変化がある訳ではなくて。
とりあえず一緒にいて、同じ時間過ごしてた感じ。それまでと何ら変わらなくて。
彼女が宿題持ってきて、一緒にやってたりで。一人っ子だからそんな経験無くて、新鮮で。
俺は十二月半ばに冬休み入って、彼女はクリスマス直前から冬休みに入る。