その答えはすぐにわかった
探すまでもなく、
台所の冷蔵庫の横にうずくまっていたからだ
暗闇の中でもはっきりとわかるほど、真っ黒な人影
見た瞬間硬直した
飲ませてあげなさいってのは、これのことか?
これに水を飲ませてやれと?
頭が混乱してて、状況が全く理解できなかった
ただ、すぐ傍の台所に母親がいるわけだし、
不思議と恐怖は感じない
その黒い影に向かって、そーっと両手を差し出す
いきなりガシッ!っと両手首を掴まれて、
心臓が止まりそうになった
黒い影は俺の両手に顔を突っ込んで、
ぐびぐびと水を飲み干していく
その頭部を見て、俺の両手首を掴んでる骨ばった掌の感触を思い出して
ああ、これ親父だ、
と気付いた