魔王「勇者たちが王城で復活することもか?」
側近「ええ、だから蘇生可能な状態で捕らえることにしたんです」
魔王「なるほどな。だが消滅させずに倒すのは苦労したぞ」
側近「だからニー・・・魔王様はゆっくり静養していていただいてかまいません」
魔王「いまニートって言おうとしただろう?」
側近「いいえ」
魔王「言おうとしたな?」
側近「いいえ」
魔王「・・・。まぁいい。まぁ自由な身だ。ちと外に出てみるかな」
側近「外・・・ですか」
魔王「ああ、もうこの城にずっと缶詰だからな。勇者の行く先に色々魔物を配置したりはしたが、ここから指示をだしているだけでは退屈だ」
側近「そうですね。ではいきましょうか」
ギギィ
【魔王城前】
魔王「では、ちょっと出かけてくるぞ」ダッ
側近「行ってらっしゃいませ」
ボッ
魔王「え?火?あ・・・あああ・・・ぎゃあああああああああああああ!」ボボゥ
魔王「も・・・燃えるうううううう!」
側近「魔王様、早く戻ってください」
魔王「ぐあああああ・・・はぁはぁ、な・・・なんだこれは」
側近「ふぅ、大したことなくてよかったです」
魔王「私は吸血鬼だったのか?いや、そんなことはない・・・城の敷地内で太陽を浴びでも大丈夫だぞ・・・」
側近「我々はここから出られないのです」
魔王「なんだと?」
側近「これもこの世の理です。ほらっ」スッ
ボッ
魔王「おお!側近の手が燃えた」
側近「ここから出るとさっきのように燃えて最後は消えてしまうんです」
魔王「な、なんでそんなことに・・・」
側近「先ほども言いましたようにこの世の理・・・神が定めたルールですか。我々はここにいなくてはいけない・・・と」
魔王「なぜ神がそんなことを・・・」
側近「勇者が来た時にここを留守にしていてはいけないから・・・とか」
魔王「冗談はよせ。私は行きたい所にいくぞ」
側近「ですから不可能です・・・。このルールの中では・・・」
魔王「では永遠にこの城にいなければならないのか?」
側近「いえ、そうとも限らないでしょう。例えば、私は魔王様の命令で各国に行ったことがあります」
魔王「そういえばそうだな」
側近「たぶんそれは魔王様の命令があったからではないかと・・・」
魔王「命令?」
側近「ええ、その必要があったから外に出られた。そうだと思うんです」