妻との出会いは花見大会だったとはいえ仕事場周辺だったし、アパートも生活圏もその周辺だった
仕事をして家に帰るというサイクルの中で妻のことを思い出し、とてもじゃないが仕事にならなかった
浮気されたことを免罪符に仕事場の仲間に迷惑を掛けたくなかったし
私がフラッシュバックで吐いているのを見て歯を食いしばっている副社長の義父をこれ以上苦しめたくなかった
社長のツテで新しい仕事を紹介してもらい、私は別の地域で働くことになった
新しい仕事とは言え、内容は似た感じだったのですぐに馴染むことが出来た
その仕事場の近くに新たにアパートを借り、一人暮らしで新生活を始めた
自殺を心配した私の親が車を売り払い、刃物や長いひもを持つことや、電車にのることを禁止された
趣味の料理ができなかったので悲しかったが、半年前の事を考えると仕方なかった
休日には私の家族や親戚、幼馴染やその家族、義両親や妻の妹らが私の様子を見にきてくれた
後に知ったが、自殺しないか心配でローテーションを組んで監視していたらしい
しかし、妻がそのローテーションの中に入ることはなかった
新しい仕事場にも慣れてきた頃、義両親からそろそろ一度今までの精算をしないかと提案された
入院して以来妻と話すことどころか、妻の様子すら知ることもなかった
確かに今のまま、夫婦関係であるにも関わらず1年近く声すら聞くこともない環境はよくないと思い
約1年ぶりに妻と話をすることになった