おかしな事になったのが6年生の時。
6月の半ばか終わりか忘れたが、とにかくその年最初のプール授業だった。
前の授業が終わると、女子共がタオルバリアー用のグループ分けを始めた。
うちのクラスは確か30人くらいだったから、女子は半分の15人程度。
大体5人ずつ、3グループに分かれて着替えるつもりだったんだろう。
また始めやがった・・・と思った俺は、深く考えずボソッと呟いた。
「全く、隠すほどのモノもないくせによー」
今思うと軽率というか、女性の尊厳を踏みにじる暴言だった。
反省してる。
「なーにー?じゃ、あんたは隠すほどのモノ持ってんのー?」
噛みついてきたのが、女子のリーダー格のヒロコだった。
元々強気な子。
俺と家が近所で、遠慮する間柄じゃなかったのもあるんだろう。
「いやその・・・別にそーゆーわけじゃないけど、よー」
「そんな事言って、実はあんたもあの中で着替えたいんでしょー?」
「バカッ!おめー、何言って・・・」
最初の口撃で意表を突かれ、口篭ってしまったのが運の尽きだったと思う。
女は勝機と見たらカサにかかって攻めてくる、と当時の俺は知らなかった。
「ねーねー、佐藤(俺)が中で着替えたいってさー」
「やめろ!おめっ、何フザけた事・・・」
教室中に広がる「えーっ!」「ヘンターイ!」という女子の声に、俺の抗議は掻き消された。
男子まで「いーなー」とか囃し始めやがる。
ヒロコの手下で体格の良い女子2人が、俺の両腕を抱え、連行した。
教室の隅へ連れて行かれ、タオルを垂らした女6~7人に取り囲まれた。
たぶん2グループ分。
残りの女子も、その外側から興味深そうに見てる。
(この中で着替えろって?まさか、冗談だろ?)