そして半年が経って、12月。
寒い寒い冬がやってきた。
そんな寒い日々の生活の中でも、女子生徒達のスカートは短いまま。
Tさんも同様に、膝が丸見えになる長さのスカートを履き続けていた。
そして、掃除当番でTさんと一緒になったある日のこと。
別館の階段を掃除しているTさんが、寒そうにしながら言った。
「冬ってヤだな…。脚が寒くて毎日がつらいよ…」
そりゃ、膝小僧を丸出しにしてれば寒いに決まってる。
余計なお世話かとも思ったが、自分はTさんに提案してみることにした。
「寒いならスカートをもうちょっと長くしたら?結構違うんじゃない?」
「うん…それはわかってるの。でも、無理かも」
「無理?どうして?」
「どうしてって言われても…。どうしても」
「だって脚が寒いんでしょ」
「うん…。寒いよ」
「我慢しないで、長いの履けばいいじゃん」
「でも…」
何やら煮え切らない様子のTさん。
そんなTさんの態度に、情けないことに自分はイライラっときてしまった。
そして自分は若干キツい口調で、Tさんに言葉をぶつけた。
「結構前から思ってたんだけどさ。そのスカート、はっきりいってTさんらしくないと思う」
「え?」
「だってさ。どっからどう見ても校則違反でしょ、その長さ」
「…それは」
「僕の知ってるTさんは昔からずっと、とっても真面目で自分に厳しい人だった」
「え…」
「何かイヤなんだよ。Tさんが学校で短いスカート履いてるの。堂々と校則破ってるの!」
結構厳しい言葉を立て続けにぶつけたと思う。
今考えると、イラついたのはこの時のTさんの態度じゃなかったのかもしれない。
昔からずっと真面目だったTさんが、平気で校則を破り続けて何ともない顔をしてる。
そのことに、内心ずっとイラついていたのかもしれない。
「だって、だって…!」
自分が浴びせた言葉の暴力の数々で、顔をくしゃくしゃにゆがめるTさん。
そして。