千尋「今、楽しく暮らしてる?」
カオナシ「……あ….」コクリ
千尋「そう……良かった…….」
千尋「油屋で優しくしてくれた女の人の名前がね、なかなか思いだせないの」
カオナシ「….」
千尋「初仕事の時、あなたが札をくれて…」
カオナシ「….」
千尋「その時手伝ってくれた女の人がいたんだけど…やだなぁ、忘れちゃうなんて」
カオナシ「….」
千尋「あ、大きい赤ちゃんは覚えてるよ!坊ってお腹に書いてあったもん!」
カオナシ「…..」
千尋「ほんとは・・・」
千尋「ほんとはもっと大切なことを思い出さなきゃいけないのに、思いだせないんだ」
カオナシ「….」
千尋「でもここであなたと会えたことはすごい奇跡だと思うの」
カオナシ「….」
千尋「夢だと思ったまま終わりにしようとしなくてよかった」
カオナシ「…..」
千尋「私の前に現れてくれて….ありがとう」
カオナシ「…..」コクリ…….
千尋「暗くなってきたね….」
カオナシ「…..」
千尋「ねぇ、またどこかで会える?」
カオナシ「…..」
千尋「なんだか…もう会えなくなりそうで….こわい….」
カオナシ「あ…あ….」フリフリ
千尋「本当のことを言って!お願い!」
カオナシ「…..」
千尋「前にも….前にも同じようなことがあった気がするの…」
カオナシ「……」
千尋「どこかで会えるって….そう言って会えなくなりそうで….怖いの….」
カオナシ「……」
千尋「油屋で過ごしたこと…忘れたくないのに忘れていってしまうの…」
カオナシ「あ….あ….」
千尋「え、なに?」
カオナシ「あ….」
千尋「え?…あ、この髪どめ….?」
カオナシ「…..」コク コク
千尋「これ、キラキラしていて可愛いでしょ。お気に入りなんだ」
カオナシ「…..」
千尋「お母さんに聞いたら買った覚えないって。お別れ会でもらったプレゼントなんじゃないかって言ってた」
カオナシ「…..」
千尋「もうずっと長く使ってるのにいつまでもキラキラしてて…綺麗でしょ?」
カオナシ「….」コク
千尋「おばあちゃんにもまた会いたいな」
カオナシ「….」コク
千尋「私のこと….覚えてくれてるかな」
カオナシ「あ….あ….」コク コク
千尋「….もう暗い….帰らなきゃ….」
カオナシ「….」