「おい、S?いま俺の居るとこ見える?」
『ばっちりよー。人が沢山車が沢山ネー』
Sはなぜか酔っていて、当時彼女の中ではやっていたフィリピン人のモノマネで電話を受けた。
「へぇ?」Aが入ったパーキングは、トイレと電話しかなく、車も3台程しかなかった。
『どこ見てんの?お前の後ろだよ』すぐに車に乗り込み、パーキングを抜け出す。
「うぐぐ…」Aは出来る限り運転に集中し、高速を降りて少しでも明るい処へ向かおうとした。
が、へんな集落に入り込んでしまい、カーナビには見た事も無い記号がてていた。
「あぁ、終わった」Aが何かの覚悟を決めると、電話がなりだした。Sだ。
『うそうそ!ごめんよーw』
「おまえ!車乗ってる時はだめだってあれほ」
『ほれほれ、そんな事より運転に集中だ』
『次右。んで真っ直ぐ。もうすぐ抜けるから大丈夫』酔いの冷めて来たSが、たんたんと言う。
『よしよし、後少し。つぎひだりねー』
「なんでだよ?ここ真っ直ぐいったら抜けれるじゃないか?」
『良いから』ドスのきいた声で言う。
何とか謎の集落から抜け出した。
『奇跡的に運のない男だね!帰りは同じ道使うなよ』
「トンネルの事?集落のこと?パーキングか?」
『全部だよ』Sが早口で言った。
帰りは来た道を避けて全部下道で帰ったお陰で、ガソリン代がえらいことになったらしい。
回り道をしたのは、ついて来てる人を減らす為。
明るく電話に出たのは、カケル君が怖がっていたからだった。
Aから電話があった時点で、カケル君に出るのをとめられたらしい。
——以下、SがAの家に来た時の話——