区役所2階納税課
悟空「おう、オラ、税金を払いにきたんだけど」
職員「あー、はいはい、で納税書類は?」
悟空「おう、これだ」パシッ(手から奪いとるように取る)
悟空「なんだ!?びっくりすんじゃねーか、普通に受け取ってくれよ」
職員「はいはい、書類はあってますね。で、お金は?」
悟空「金はこっちだ」
パシッ
悟空「いや、だから普通に受け取ってくれよ。そんな取り方しなくてもいいだろー」
職員「はぁ?(ボソッ)」
悟空「な、なんだよ・・・」
職員「はいはい、確かにね。これ領収書。あと銀行口座への振替依頼書ね。」
悟空「領収書?なんだそれ?それに振替依頼書って?」
職員「はぁ?(ボソッ)」
悟空「いや、オラ、税金払うの初めてでよくわかんねーんだ」
職員「・・・(無視)」
悟空「な、なあ、領収書ってなんだよ?それにチチと悟飯の税金何に使うんだ?」
職員「あなたに言う義務はありません」
悟空「お、おい、受け取るんだから教えてくれてもいーじゃねーか。」
職員「市民の為に使われます。振替依頼書はこうやってわざわざここにくるの面倒でしょ?
私らも手間なんでこれだしてくれたら勝手銀行から引き落とされるから」
悟空「おい、具体的に言えよ、市民の為って。」
職員「はいはい。では次の方ー」
区役所外
悟空「感じわっるいなー。あいつもぎょーせーって奴ならチチや悟飯の税金で生きてんじゃねーのか」
悟空「・・・なんか納得いかねーなー。オラよくわかんねーけどお金は大事じゃねーのかなー」
ふと悟空が区役所前のビルを見ると警察と人が集まっている。
警官「はやまるなー!まだ若いんだからよく考えろー!」
女「黙って!それ以上きたらここから飛び下りる!」
警官「や、やめろー!よく考えるんだ!」
悟空「な、なんだ?おい、どーしたんだよ?」
やじ馬「みてわかんねーのかよ?若い女が飛び降り自殺しようとしてんだよ!」
悟空「自殺ぅ?なんで?」
やじ馬「知るかよ!お前がきいてこいよ」
悟空「それもそうだな。オラ、ちょっと行ってくるわ」
やじ馬「はっ、マジかよ?って、あ、あわわわわ」
悟空、ビルの屋上まで武空術
女「あ、え、あわわわわ」
悟空「おめー、自殺しかけてたのはなんでだー?何か悩みでもあんのかー?」
女「あ、あわわわわ、いま、空飛んだ・・・」
悟空「あ、そっか、空飛びのって珍しかったかー、オラ、空飛べんだ」
女「そ、そうなの・・・って、えっ?空飛べる?」
悟空「オラのことはいいからなんでおめー死のうとしたんだ?」
女「私、実は妊娠して会社を辞めさせられたんです」
悟空「妊娠!?良かったじゃねーか!」
女「よくないですよ!いや、確かによかったですけど。でも、会社をクビになって・・・」
悟空「おめーの妊娠とクビは何の関係があんだ?」
女「私、妊娠したから産休を申請したんです。始めは受理してくれたんですが・・・その・・・」
女「不景気を理由に人員整理するからって、解雇を・・・。」
悟空「え、でもよー、不景気なんだから仕方ねーんじゃねーんか?」
女「不景気なんて嘘です!実際、社長や役員は高級外車を乗り回してますし、株価も上がってたんです。
私より成績悪い人もいました。なのに私だけクビなんです」
悟空「そうなんかー、でもだからって死ぬことはねーだろう」
女「もう嫌なんです。私、努力してきたのに。誰よりも頑張ってきた。なのに女だから、妊娠したからって」
悟空「お、落ち着けよ、家族や赤ちゃんの父親はなんて言ってんだよ?」
女「彼氏は女の私が働くの反対でしたし、両親は・・・産休なんて会社の迷惑だろ!って」
女「なんで会社が働きもしていないお前に給料を払うんだ!
法律があるからっておかしいと思わないのか!非常識だ!って・・・」
女「私、もう何を信じたらいいのかわからない。
お腹の赤ちゃんが女の子だったらと思うと、こんな世の中に産んであげたくない」
悟空「ま、待てよ!と、とにかく死ぬのはダメだ。はやまるなって!」
女「・・・もういいの。ありがとう。少し泣いてすっきりしたわ。」
悟空「え、そ、それはよかったな、は、はは・・・」
女「さようなら。最後にあなたと話せてよかった」
女、ビルから飛び降りる
悟空「!!しまった!」
悟空、武空術で女を助ける。
悟空「こんなになるぐれーなんて・・・よっぽど悔しかったんだな」
悟空(でも、おっかしーな。産休ってやつは法律で保障されてるって言ってたのに)
悟空(会社は今まで働いてもらってたんだろー?なんで産休でクビにすんだ?)
下の警官に女を渡す悟空。拍手と驚きの表情が悟空を包みこんだ。
悟空「おっと、いけねぇ、オラ、あんま目立つのはきれーなんだ。じゃな!」
走り去る悟空