おはようメールまでくれるとは中々仕事熱心な業者さんだ。
ただ、鉄の棒を握って社内の混雑に耐えてるお兄さんには、メールは読めても
返事は書けないんだな。しばしお待ちを。
電車を乗り換えるターミナル駅で歩きながら返信。
「電車混んでて返信できなかった、おはよう。もうこの時期は車内蒸し暑くて地獄だよ」
またすぐに返信。
「あたし満員電車は絶対ダメ。もうせまいし気持ち悪いし、この季節は特にダメ」
ここまで強調するってことは、満員電車には乗ってないんだろうな。
これでOLとかの線は消えた。フリーターかニートかも知れない。
いやでもこのメールも「仕事」だからニートではないか。
こんな風にして、メールのやりとりは始まった。
ただ困ったのは話題だった。基本的に向こうの素性は明かして貰えないので、
質問はNGになってしまうことが多い。
あとは恋人同士なら週末にどこに行くかとかで盛り上がれるんだろうけど、
顔を会わせることの無い俺たちには無理な話題。
擬似恋愛の弱点がお試し期間中にすでに露呈。
そして3日が過ぎて、その日の朝にお試し期間終了のメールが来る。
「3日たったけどどうする?月2万で続ける?」
「ちょっと考えてもいい?」
「いいよ。できたら今日中に返事ちょうだい」
とりあえずこのメールが月2万に値するかを考えた。
とりあえず、彼女もいない残業だらけのSEとしては、別にこのくらいの出費は痛くない。