女「結局それですか」
男「僕に抱かれるのが、イヤなんですか?」
女「イイと思うんですか、わたしが?」
男「質問に質問は感心しませんね」
女「あなたの言動よりはマシでしょう。でも、そうですね……」
男「おやおや。ようやく僕を受け入れてくれますか」
女「ええ。最期ぐらいは、役に立つことをしてもいいかもしれません」
男「話の理解が早い人で助かります」
女「ええ。警察に通報します」
男「フッ……」
女「言っておきますけど、おどしとかじゃないですから」
男「ほほう」
女「こんな世の中です。
女であるわたしがあなたを通報すれば、どうなるかはわかりますよね?」
男「フッ、あまいですねえ」
女「あまい?」
男「あなたは自禾殳を図っていた。身元整理はしてるんじゃないですか?」
女「それは……」
男「ケータイを解約したりとか、遺言書を残してたりすれば」
男「自禾殳の証拠としては十分ですよね」
男「ていうか、ケータイ解約してたら警察に通報すらできませんけどね」
女「うっ……」
男「つまりあなたは、僕に抱かれてタヒぬか」
男「僕を通報して、ダラダラとこの世界で生きていくって選択肢しかないんですよ」
女「どっちも地獄ですね」
男「さあどうしますか?」
女「……」
男「おとなしくしていれば、優しくしますよ」
女「きゃあああああっ! 誰か助けてえええ!!」
男「ええっ!?」
男「これからタヒぬくせに、なに助けを呼んでるんですか!?」
女「あなたを出すとこに出して、それからタヒぬことにしました」
管理人「なにかあったんですか!?」
男「!!」
女「実はここに極めて特殊な変態が……」
管理人「なぜ裸足なんですか?」
女「え? あ、いやその……ちょっと開放的な気分になりたくて……」
管理人「開放的な気分ねえ」
女「ほ、本当です。あの、coccoとかそういう歌手の人のマネです」
管理人「悪いけど、屋上から出てもらってもいい?」
女「……」
管理人「こんな世の中だと、ついつい暗い考えが浮かんでしまうんですよ」
女「……わかりました」
管理人「おねがいしますね」
女「はい」
男「いやあ、ビックリしたあ」
女「ひゃっ!? きゅ、急に声出さないでくださいよ」
男「おっ。はじめて驚いた顔をしてくれましたね」