それが友子。話があるというので、見知らぬ相手だったが
「美人とお茶って役得?」なノリでついていった。
友子の話は、
「あなたの彼氏のせいで私の友人が迷惑をしています。痴話げんかに巻き込まないでください」
だった。その時の私子は彼男と別れた後も誰とも付き合っていなかったのでフリー。
「いやいや、彼氏なんていませんよ。つか募集中」と言った。
友子は「え?」といった顔をしていたが、しばらく考え込んでて
「そうですか、いろいろ確かめた方がいいかもしれませんね。突然すみませんでした」
といって席を去って行ってしまった。
気がつくと私のお茶代も支払われた後だった。
いいのかな~、でも美人にお茶奢ってもらえるなんて何かいいことの前触れ?と思ったりしていた。
その日の夜、別れた彼男からいきなりメール。「お前、友子ちゃんに何告げ口してんだよ!」
本気で意味が分からない。
「友子って誰?告げ口って何?あんたなんかやらかしたの?」と返信。
彼男「友子ちゃんは可愛子ちゃんの友達だよ」
私子「可愛子ちゃんって?」
彼男「可愛子ちゃんっていったら可愛子ちゃんだよ!俺の天使(←マジで言った)だよ!」
私子「へ~。あのすっごく綺麗な子って可愛子ちゃんって名前なんだ」
ここで私子、初めて電車の彼女とその友人の名前が、
可愛子ちゃんと友子ちゃんだと知る。
彼男「なんで今頃名前知ってんだよ」
私子「仕方ないじゃん。一度電車で見かけただけの知らない人なんだから」
彼男「なんで知らないんだよ。あんなに可愛いのに。あの子のことを考えるだけで俺頭がおかしくなりそなくらい好きなのに!」
知らんがなそんなこと、と思った。
もうすっかり未練はなかったが、ファーストフード店でされたことは多少根に持っていた。
だがそんな気持ちもだんだん、何か可哀そうなものを見てるようなそんな気持ちになっていった。
そしてどんどん関わりたくない気持ちにもなっていった。
関わりたくなかったが、一人でこんなの抱え込むのも嫌なんで
友人知人に事情を披露して酒の肴・話のネタとして提供して心を軽くした。
意外と大受けで、いつの間にか彼男は飲み会でのひそかな有名人になってしまった。
中には遠まわしに彼男に「なあ、彼男の好きな子ってバリ可愛いんやって?」とか言いだす輩も出た。
彼男はそれをどう脳内変換したのか「俺と可愛子ちゃんがいつの間にか公認の仲!」となったらしい。