【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

遠くの太陽が水平線にそろそろ落ちるかという時間。
オラとあいちゃんは、駅まで歩いていた。もうすぐ、最終電車の時間が迫っていたからだ。
これからどこに行くかは分からない。ただ、こんなところで野宿するわけにもいかない。

二人ならんで、畦道を歩く。
昼間来た時よりも、足元から伸びる影は長い。

「……しんのすけさん、今日はありがとうございました」

あいちゃんは、改めて頭を下げて来た。

「今日は、いいリフレッシュになれました。服が濡れてしまいましたけど、後日弁償を……」

「ああ、それはいいよ。ひまわりにはオラから言っておくから」

(たぶん、激怒されるだろうけど……)

「……そう、ですか。でも、今日という日は、私は忘れません」

「大袈裟だなあ」

「そんなことないです。今日は、本当に充実した日になりましたし。
 ――ですが、それも終わりのようです」

「……え?」

あいちゃんは、歩く先を見つめていた。その方向には、スーツ姿の男性が3人……

「あれは……」

「………」

男性たちは、何も言わずにオラ達のもとへ歩み寄ってきた。

「……お迎えに参りました、お嬢様……」

男達はあいちゃんに深々と一礼する。

「……お迎えって……」

「……おそらく、父が……」

あいちゃんは、寂しそうに呟いた。

「………」

あいちゃんは、さっきまでの暖かい表情から、とても暗い、沈んだものに変わっていた。

「さあ、お嬢様……いつまでも、お父様方に迷惑をかけてはいけません」

「………ッ」

男の一人が、あいちゃんに手を差し出す。

「……分かりました」

あいちゃんは、男達に向け一歩足を踏み出す―――

「――あいちゃん、待って」

そんな彼女を、オラは手を出して制止した。

「し、しんのすけさん?」

「………」

彼女は驚いたように顔を向け、逆に男達はオラを睨み付けた。

そんな男達に、聞いてみた。

「……あいちゃんの両親は、今何してるんですか?」

男達は、一度顔を見合わせる。そして、一番先頭の男が、口を開いた。

「……会長ご夫婦は、現在重要な会議に出席されています。このようなところに、来れるはずもありません」

「……重要な会議、ね……」

……なんだか、凄く頭に来た。

▼ 続きは次のページにて♪ ▼
前のページへ 次のページへ