【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「……僕はね、必死に勉強して、大学に入った。大学でも一生懸命単位を取って、卒業も出来たんだよ」

「……」

「……でも、就職先が見つからなくてね。当然だよね。年もそこそこ上で、四流大学出身、何の取り柄もない僕なんて、どの会社も欲しくはないだろうね。
――結局僕は、浪人生活に逆戻りさ。
皮肉だよね。大学浪人を抜け出した先にあったのは、就職浪人なんだよ……」

「……」

確かに、四郎さんが大学を出た頃は、ちょうど就職氷河期と呼ばれていた時代……
就職は、そうとう困難だっただろう。

「……それでも、仕事をしないと生活は出来ない。仕方なく僕は、アルバイトをしたんだ。
……でもそこは、地獄だったよ……」

「地獄……」

「僕ね、色々鈍いんだ。だから、仕事を覚えるのが遅くてね。
年下のバイトの先輩にはバカにされ、罵倒され……客にはクレーム入れられ、店長には怒鳴られ……そしてまた、後ろ指を指されて笑われる毎日だった……」

「……」

「それでも頑張ったんだ。今は耐える時だ。いつか就職出来れば、この生活も終わりだ。
……そう、毎日自分に言い聞かせてたよ。
そしてついに、僕は就職出来たんだ。小さな会社だったけど、それでも、僕は嬉しかった。これで普通の、落ち着いた生活が出来るって思ったんだ。
……でも、現実は違ってた」

「……それじゃ……」

「そうだよ。そこに待っていたものも、結局地獄だったよ。
怒鳴られ、笑われ、蔑まれ……何も変わらない、苦しいだけの生活だったんだ……」

「……四郎さん……」

「しばらく勤めたけど、最後には鬱になってね。
それを上司に言ったら、あっさりとクビを迫られたよ。
……そしてまた、僕は何もない生活さ……」

「それからはアルバイトしても続かず、その日暮らしの生活だったよ」

「……」

「何のために生きているのかも分からない。ただ生きることにしがみつく毎日。
……それってさ、死んでるようなものなんじゃないの?
そう考えたら、どうでも良くなってきてね。最後に大金で豪遊して、つまらない人生に終止符を打つつもりだったんだ……」

「……それが、強盗とオラ達を誘拐した理由なんですか?」

その問いに、四郎さんは静かに頷いた。

四郎さんの話は、とても辛かった。
それでも、彼の経験した辛さは、桁違いのものだっただろう。
社会の厳しさに飲み込まれ、絶望し……今の彼は、生き方を失っているのかもしれない。
もちろんそれは、犯罪を正当化する理由にはなり得ない。
……それでも、同情せざるを得なかった。

……だけど……

「……四郎さん……オラは――」

「――ふざけないで!!」

「――ッ!?」

「――ッ!?」

突然暗闇の中、ひまわりの怒声が響き渡った。

オラと四郎さんは、思わず声を出すのを忘れ、ただ彼女を見つめていた。

▼ 続きは次のページにて♪ ▼
前のページへ 次のページへ