ひまわりは、四郎さんを睨み付けていた。
さっきまでの怯えていた彼女とは、まったく違っていた。力強く、鋭い目つきだった。
こんな眼がひまわりに出来たことに、オラは驚いた。
「ひ、ひまわりちゃん……」
四郎さんも、動揺していたようだった。
ひまわりは、なおも四郎さんに叫ぶ。
「どれだけ辛くたって、どれだけ苦しくたって、それがこんなことをする理由になんてなるわけないでしょ!?
あなたは卑怯だよ!!四郎さん!!自分の環境を、全部他人のせいにしてる!!
――そんなの、卑怯だよ!!」
「……う、うるさい!!うるさいうるさい!!
お前に――お前に何が分かる!!僕が味わった苦しみが、お前なんかに分かるもんか!!」
「辛い思いをしたのは、あなただけじゃない!!誰だって、苦しいことがあってる!!
――四郎さんだって同じでしょ!?あなたに……私とお兄ちゃんの、何が分かるの!?」
「―――ッ!」
「………」
「お父さんとお母さんが死んで……私は、一人ぼっちになったと思った!!でも、お兄ちゃんが助けてくれた!!私は一人じゃないって言ってくれた!!
私が落ち込まないように、無理して笑いかけてくれてたよ!?」
いつの間にか、ひまわりの目からは涙が溢れていた。オラと四郎さんは、ただ彼女の言葉を受ける。
彼女の言葉は、オラ達の時を止めていた。
「……私、知ってた……お兄ちゃんが、誰もいないところで泣いていたの……知ってた……!!
本当はお兄ちゃんだって……誰かに助けてほしかったんだよ……。
―――本当は、お兄ちゃんだって辛かったはずなのに……お兄ちゃんは笑ってたよ!?
……本当は……お兄ちゃんだって……!!」
言葉の途中で、ひまわりは声を上げて泣き出した。
漏れる息に言葉は飲み込まれ、彼女はそれ以上、何も言えなくなっていた。
