その時貰ったチョコは何か勿体なくて、食べられなくて。封も切れなくて。
何日か冷蔵庫でご本尊のような扱いを受けていたのを学校から帰った彼女に発見されて。
怒って珍しく大声で「何で!!」そう言ったきり部屋の隅座って、涙目になって。
慌てて謝りながら彼女の目の前で食べて。その後も無視られながらの弁解に必死で。
視線くれるのにもかなり時間かかって。口開いてくれたのは十時回った頃で。
「マジ何でもするから、許して。」「…何でも?」「出来る事なら。」「本当にですか?」
「する。するから。」「じゃ、もう一回聞きますから答えてください。」「え?」
「私の事、好きですか?」まだ責めるような目で。一瞬躊躇したけど同じに答えて。
「…好き。だし、大切。」その一言で彼女は頷いて、やっと顔緩めてくれて。
「あは。安心しました。」その笑顔でまた、とんでもなく悪い事をしたような気分になって。
思わず謝ったら「もう許してます。」そう言って、立って横来て。腕持って。
「また今度聞きます。」「え?」「言って貰ったら嬉しいから。」ちょっと顔ほてらせて。
頷いたら、やたら嬉しそうに笑って。またその顔で自分が悪い事した気分になった。
いらないとは言われたけど、ホワイトデーには一応、クッキーを渡した。
彼女は「食べなかったら怒りますよね?」そんな事言って。悪戯っぽく笑って。
「何でもするって言うまで許さない。」そう答えたら「あは。ちょっと怖い。」
何が怖いのか聞こうかと思ったけど、既にちょっと赤かったから、やめた。
進級して二年生になった彼女は、お婆さんと毎日のように進路の事話していて。
お婆さんは、高校くらいは出ていないと仕事探しにも苦労するのではと心配していて。