彼女とお婆さんが住む事になったのは、平屋建ての長屋みたいな所の端。3DKで。
五世帯が二棟連なってる長屋の住人、高齢者ばかり。高齢者世帯向けの市営住宅だった。
俺と彼女の間での行き来は、何も変わらなくて。俺が休みとか家にいる時間は、来てて。
学校が夏休みになると、朝方から俺がいなくてもカギ開けて入って、待ってる感じで。
待たれてるとなると、バイトとか実習とか補講が終わるとすぐ家に足が向いて。
「おかえりなさい。」言って貰って。休日も、何がある訳でも無いけど一緒にいる感じで。
最初の頃は、七時頃には彼女家に送り届けて、お婆さんに挨拶して、おやすみ言って帰ったり、
そのまま夕食御馳走になって。お返しに何か届けて。またお返しされてって感じで。
そのうちに彼女が俺の部屋にいる時間が長くなって。彼女が夕食作ってくれる事も多くなって。
のんびりしすぎて、気がついたら遅い時間になってたりで、慌てて彼女の家まで出発したりで。
俺の部屋から市営までは、国道沿い歩いてほぼ真っ直ぐで徒歩二十分。軽い散歩程度の距離。
学校の近所で。近隣に住んでた友達とか講師とかと出くわしたりする事もあって。
逃げる訳にもいかないし腹決めて紹介して。俺が口に出して「カノジョ。」って言うと、
照れなのか顔赤くして、はにかんで。俺の後ろ隠れて。背中くっついて。それがかわいくて。
ほぼ全員に後から学校とかで「かわいかったー。けど何歳?」って事を聞かれて。
ちっちゃくて肉の薄い彼女は実年齢より下しか見えなくて。一番気になる部分だったみたいで。
中二で十四歳と言うと、ギリギリセーフと言う判定をされる事が多くて。
ロリコンとか変態とか、きっつい言葉も覚悟してたけど、結構反応柔らかくて、意外だった。
…でもこの頃、彼女と歩いてて、初めて職務質問をされた。夜十時くらいだったと思う。