みさえが横たわっている
心電図の無機質な電子音だけが虚しく聞こえていた
みさえが意識を失ってから二ヶ月が経った
そして野原一家はある決断を迫られる
「かあちゃんおかえりー!」
ガラス越しにみさえに話し掛けるしんのすけ
「今日ね、マサオ君がまたネネちゃんに怒られて泣いちゃったんだゾ~」
幼稚園かばんから紙を取り出す
「ほらみてかあちゃん、オラ今度のおゆうぎ会で浦島太郎やるんだゾ、風間君が浦島太郎で、ネネちゃんが竜宮城のお姫様、オラは亀の役だゾかあちゃんも見に来てよね!」
嬉しそうに話し掛けるしんのすけだが、みさえからの反応は勿論無い
そこにひろしが沈痛な面持ちでやってくる
「しんのすけ…ちょっとこい」
「…ほ~い」
廊下に出る二人
「しんのすけ…かあちゃんをな…」
「…」
「もう休ませてあげよう…」
「…!」
「休ませる…?」
「今かあちゃんはとっても疲れてる…このままかあちゃんに辛い思いさせたくないだろ…?」
「かあちゃん死んじゃうの?」
「…先生が、かあちゃんが一番良い方法で休ませてくれるらしい…」
「…」
「しんのすけ…わかるな…?」
「わからないゾ!オラ子供だからわからないゾ!」