しかし、今日も希望校への判定は「D」。
むしゃくしゃしてリビングで、父の煙草を一本拝借。
火を付けた瞬間に母が帰宅した。
最悪のタイミング……。
母は何も言わず、メモとペンを取りだして、
サラサラと何かを書いている。
「ここへ行ってきなさい」
「は?」見たら、見たこともない住所と名前。
「何で俺がこん…」
「いいから行ってきなさい!」
母のここまで取り乱した顔を見たのは
後にも先にもこの時だけである。
なんだってんだよ…まぁいいか、
どうせ勉強もはかどってないし……。
そんな軽い気持で、
俺は書いてある住所へ向かうため電車に乗った。
その時には、まさかこれほど
重大なことを知ることになろうとは、思っても見なかったのだ