女「だって、私どんなものを選んだらいいか分からないから」
男「店員に聞けば教えてくれるんじゃないのか?」
女「・・・いつも買い物に行くときはお母さんかお姉ちゃんに、」
男「わかったよ。ついてくよ。で、何時だ?」
女「・・・うん。ありがとう。私、移動とかに時間かかってしまうから早めの方がいいわ。14時ごろでもいい?」
男「いいけど・・・暑い時間で大丈夫かよ」
女「・・・・うん」
男「?まあ、お前がいいんならいいけど」
女「・・・じゃあ一旦帰りましょう」
男「ん」
女の言いたいことは分かった。
『いつも買い物に行くときはお母さんかお姉ちゃんに、』
続く言葉はたぶん『段差とかがあった時に車椅子を持ってもらう』だろう。
出来るだけ他人の手を借りず、出来ることは自分でやる。
そういう強い心を持っているこいつに、その続きを言わせるのは酷だと思った。
ピンポーン
女母「はーい、あら」
男「あ、えっとこんにちは」
女母「ちょっと待っててくださいね。今支度してるから」
男「あ、ハイ」
女「あ、お待たせしました」
男「あ、おう」
女母「じゃあ、申し訳ないけどよろしくお願いしますね」
男「いえ、買い物だけなんで」
女「行ってきます」
ガチャン
てくてく
男「・・・おい」
からから
女「なに?」
男「今日買い物するにあたって条件がある」
女「?」
男「今お前が被ってる麦わら帽子、店の中ではとるだろ?」
女「え?うん」
男「その帽子とか、あと買ったものとかはオレが持つ」
女「え?」
男「それと、段差とか必要な時は遠慮せずにオレに頼れ」
女「・・・は?何言ってるの?そんな事、あなたにしてもらわなくても、」
男「じゃなきゃオレがついて行く意味ねーし、それに全然知らん他人から見たらオレどんだけ鬼畜だよって映るだろ」
女「・・・でも」
男「俺は、お前が自分で大体の事出来るのは知ってる。でもお前の事知らない他人はそうじゃないだろ」
女「・・・」
男「・・・オレがその役やんなきゃ、見ず知らずの優しい他人がお前を助けようとするぞ。それはお前、嫌なんだろ?俺は、お前が本当は自分で出来ること知ってる。知ってる上で敢えて手助けする。その方がまだいいだろ?」
女「・・・・わかったわ。よろしくお願いします」
男「・・おう・・・ホントお前めんどくさい奴だな」
女「何か言った?」
男「べつにー」