男「あー・・・」
女「何?」
男「お前さ、運動したいから校庭見てるのか?」
女「違うわ」
男「・・・」
女「あなたみたいに、運動できるのに、真面目にやらない人を見ているとイライラするの」
男「・・・悪かったな」
女「・・・私も悪かったわ。これからはあまり外を見ないようにします」
男「いや・・別にそんなことは言ってねーよ」
女「・・・」
男「・・・」
女「同情とか、やめてくれるかしら」
男「は?」
女「満足に歩けないからって、私は別に困っていないわ」
男「・・・お前さ、ここ3階だけど、帰る時どうやって階段降りてんの?」
女「時間をかければ、降りられるから」
男「それは見てれば分かるけど、その車椅子どうしてるんだよ。持って階段降りられないだろ」
女「・・・母が迎えに来てくれるから」
男「・・・じゃあ迎え来るまでここにいるってわけか」
女「そうよ」
男「迎え、何時くらいなんだ?」
女「なんでそんな事を聞くの?」
男「お前が、いつも部活終わるまで校庭見てるから、ずいぶん遅くまでいるなって思ってたんだよ」
女「・・・6時半ごろよ」
男「そうか。だから部活終わりまで見てるんだな」
女「・・・悪かったわね」
男「・・・突き指治るまでヒマだから、階段降りるの手伝ってやるよ」
女「は?どういう風の吹き回しなの?」
男「その代わり、治るまでここからサッカー部見させてくれよ」
女「どういう事?見学ならグラウンドでするべきじゃないの?」
男「練習やらねー奴がグラウンドにいると邪魔なんだよ。それに、さっき気づいたんだけど、ここからだと全体の動き見えるからな」
女「・・・そう。真面目な理由なら別にいいと思うけど。一応明日、会長に許可を取りますから」
男「ああ」
**
男「そろそろ時間だろ」
女「・・ええ」
男「じゃあ行くか」
女「あ、湯呑」
男「あ、ワリィ」
ジャー・・ガチャガチャ
女「・・・あなたが洗う事は無いのに」
男「いや、オレが使ったんだからオレが洗うよ」
女「・・・」
男「大丈夫か?」
女「手を貸す必要はないわ」
男「・・・わかった。転ぶなよ。オレは車椅子持って先に降りるわ」
女「ええ」
男「・・・」
女「・・なんで、私の前にいるの?下にいればいいじゃない」
男「別に」
女「・・転ばないから大丈夫よ。今まで一度も転んだことないわ」
男「へいへい」
タッタッタ