「やばい!どうしよう!あいつらが、その!倒れちゃって!あの!どうしよう!」
「俺たちだけで帰ろう」
「ふえぇ!?」肩透かしを食らった。
「俺たちじゃどうしようもねぇよ。仮に霊が見えたとして何ができんの?急ぐぞ。
俺たちまで倒れるようなことがあったらそれこそどうすんのさ?」
「いや、あっ!でもっ!!」
こんな時にいやに冷静だし、正論すぎて反論できなかった。
「おぃーなんでおいていくんだよ!w」寒気がした。
BとCだ。ヘラヘラして階段の上に立っている。
「おまえら大丈夫かよ…?」
笑顔で近づこうとすると、すごい力でAに腕をつかまれた。
普段からアイラインを引いたように目がぱっちりした奴だが、いつにもまして大きくなっていた。
「おーい。おまえらそこにいろ、別々に帰ろうぜ」
そう言うや否や、Aが自転車にまたがった。
「いそげ、にげるぞ」俺に囁いた。
『帰る』から『逃げる』に言葉が変わっている事で、事態を把握した。
BとCが何やらわめいているが、俺たちは全力で自転車を漕ぎだした。
「別にあいつらにおかしいとこはないのかもしれない。気持悪い感じもしなかったしな。
でもお前息切らして走ってきたのに、あいつらに全然疲れてなかったろ?つか、時間的にもおかしいんじゃ無いか?」
言われればそうだ。また怖くなってきた。
「取り敢えずO神社行こう。最悪今日は泊めてもらおうな」
Aはずっと無表情で、俺をあやす様に言った。
俺は泣き出してしまった。
階段を駆け上がり境内に入った。