男「『誰かタヒんだ人はいませんか』って」
女「それで、反応した人はいなかったってわけですね」
男「ええ。心霊スポットとか樹海とか自禾殳現場にも、足繁く通ったんですよ」
女「それでも誰にも会わなかったんですね」
男「はい。そこではじめて気づいたんですよ」
男「幽霊になっても、幽霊は見えないって」
男「それに気づいたとき、タヒのうと思ったときと同じぐらいタヒにたくなったんです」
女「おしゃべり好きな人は、自禾殳しないほうがいいってことですか」
男「……あれ、まだ言ってませんでしたっけ?」
女「ん?」
男「僕、生前は人と話すのがイヤでイヤで仕方なかったんです」
女「……」
男「目は口ほどにものを言うって言葉の意味がわかりました」
女「バレました?」
男「嘘だろっていうのが、一瞬で伝わってきましたよ」
女「わたしは以心伝心の意味がわかりました」
男「ほほう」
女「あと目は口ほどにものを言うって言葉の意味も。変なかんちがいしないでくださいね」
男「照れなくてもいいのに」
女「はいはい」
男「まああなたが、そう思うのも無理はありません」
男「でも、本当の話なんですよ」
男「友達も全然いませんでしたし、まして異性の知り合いなんて……」
女「そのわりには、わたしと話すときはすごい流暢でしたよね?」
男「タヒんでから、ずっといろんな人に話しかけてたんですよ、僕は」
女「人と話すのはきらいだって、さっき言ってましたよね?」
男「ええ。ですけど、何年たってもやることがないんですよ?」
男「知ってる人とすれちがっても、もちろん気づいてもらえない」
男「僕のことを見てくれたのは、たぶんカメラとかだけなんじゃないですか」
女「……」
男「タヒんでからはじめて思ったんです。誰かに気づいてほしい」
男「誰かとお話したいって」
男「『誰かタヒんだ人はいませんか』って」
女「それで、反応した人はいなかったってわけですね」
男「ええ。心霊スポットとか樹海とか自禾殳現場にも、足繁く通ったんですよ」
女「それでも誰にも会わなかったんですね」
男「はい。そこではじめて気づいたんですよ」
男「幽霊になっても、幽霊は見えないって」
男「それに気づいたとき、タヒのうと思ったときと同じぐらいタヒにたくなったんです」
女「おしゃべり好きな人は、自禾殳しないほうがいいってことですか」
男「……あれ、まだ言ってませんでしたっけ?」
女「ん?」
男「僕、生前は人と話すのがイヤでイヤで仕方なかったんです」
女「……」
男「目は口ほどにものを言うって言葉の意味がわかりました」
女「バレました?」
男「嘘だろっていうのが、一瞬で伝わってきましたよ」
女「わたしは以心伝心の意味がわかりました」
男「ほほう」
女「あと目は口ほどにものを言うって言葉の意味も。変なかんちがいしないでくださいね」
男「照れなくてもいいのに」
女「はいはい」
男「まああなたが、そう思うのも無理はありません」
男「でも、本当の話なんですよ」
男「友達も全然いませんでしたし、まして異性の知り合いなんて……」
女「そのわりには、わたしと話すときはすごい流暢でしたよね?」
男「タヒんでから、ずっといろんな人に話しかけてたんですよ、僕は」
女「人と話すのはきらいだって、さっき言ってましたよね?」
男「ええ。ですけど、何年たってもやることがないんですよ?」
男「知ってる人とすれちがっても、もちろん気づいてもらえない」
男「僕のことを見てくれたのは、たぶんカメラとかだけなんじゃないですか」
女「……」
男「タヒんでからはじめて思ったんです。誰かに気づいてほしい」
男「誰かとお話したいって」
男「タヒんでからはいろんな人に話しかけましたよ」
男「公園のベンチでぼーっとしてるおじいさんとか」
男「砂場で遊んでる小さなお子さんとか」
男「明らかにコワそうな集団に飛びこんだりもしました」
男「もちろん、誰も気づいてくれませんけどね」
女「かえってつらくなりません、それ?」
男「ええ。でもときどき、会話が噛み合ったりするとすごく嬉しいんですよ」
男「声をかけて、偶然こちらを見てくれたりとかもね」
女「せつないですね」
女「じゃあわたしに話しかけたのも……」
男「いえ、それはすこしちがいます」
男「もうここ半年ぐらいは、そういうのもやめたんです」
女「じゃあ、どうしてわたしに?」
男「タヒんでからはいろんな人に話しかけましたよ」
男「公園のベンチでぼーっとしてるおじいさんとか」
男「砂場で遊んでる小さなお子さんとか」
男「明らかにコワそうな集団に飛びこんだりもしました」
男「もちろん、誰も気づいてくれませんけどね」
女「かえってつらくなりません、それ?」
男「ええ。でもときどき、会話が噛み合ったりするとすごく嬉しいんですよ」
男「声をかけて、偶然こちらを見てくれたりとかもね」
女「せつないですね」
女「じゃあわたしに話しかけたのも……」
男「いえ、それはすこしちがいます」
男「もうここ半年ぐらいは、そういうのもやめたんです」
女「じゃあ、どうしてわたしに?」