やっと。
やっと、俺の方から触れた。
「俺wwがんばるwwwwからww」
スーツにはまだ慣れない。職場では白衣だが、まだ学生気分が抜け切らないんだ。
そう簡単に社会人の仲間入りは果たせねーな。
「だからwwww見ててくれwww」
背を向けた。頬を伝う熱い水を見られたくなかった。
俺は最後までクールガイなんだよ。
宣誓にも近い儀式が終わる。金縛りにあったみたいに、足が動いてくれねぇ。
いいんだ、これで。未練があって、いいんだ。
なんていっても、
「大好きwwwだしなww」
風がまた吹いた。花びらが鼻先をかすめ思わず目を閉じる。
まぶたの裏に、確かに、あいつの顔が見えた。
……ばっかやろ。そういう時は、わざとでもいいから、笑顔にしろよ。何いつも通りの無表情で出てきてんだ。
振り向いた。花束が風で少し動いてる。それ以上に。
もう一度、言いたかった。
「大好きだ、幼馴染。愛してる」
そして、
確かにその時、
幻聴なんかじゃなく、
俺の耳には聞こえたんだ。
――あいつの、声が。
『……私も……大好き』
終
男「頼む、頼む、死ぬな。死なないでくれよ、頼むから」
脈拍が――電気ショックを――先生、血圧が――処置のしようが――
男「オイ、勝手に死ぬな。散々俺のこと無視して、チョコだけ食いやがって、感想もよこさずに、死ぬんじゃねえよ」
そんな――先生、どうにか――我々もできるかぎりのことは――もう見守ることしか――
男「死ぬな……起きろ……神様、ああ、神様。頼む、俺が死んでもいいから……こいつを……誰か……助けてください……」
??「――――待てッ!!」